北海道・当別町のレトロ自販機設置店「アウルショップ275」に行ってきました

f:id:holy-jolly:20131109192511j:plain

レトロ自販機を求めてアウルショップ275へ

インターネットをしていて、懐古スレや深夜のドライブスレでしばしば言及される、レトロ自販機*1

代表的なのはグーテンバーガーに代表される「ハンバーガー自販機」と、「うどん・そば自販機」でしょうか。私が小さいころは、各種レジャー施設や駅の中など、いろいろな場所でみかけた気がしますが、近年はめっきりと姿を消してしまいましたね。

そして最近まで、我が北海道にも唯一現役で「うどん・そば自販機」が稼働しているドライブインがありました。

札幌市の北東に位置する当別町。その街中にある「アウルショップ275」です。

先日石狩方面に釣りに行った時、たまたま思い出して寄ってみたのですが、なんと閉店していました。どうやらオーナー様のご逝去によるものだとか。

ネットで例の自販機の話題を見つけてしまい、とても懐かしくなり、今すぐ食べたい欲を抑えきれずに深夜に車を飛ばして、そばを食べに行ったのが2013年の11月。

それからわずか数ヶ月後の2014年2月には、既に閉店していたようです。

これで、北海道には稼働しているレトロ自販機が一切無くなってしまい、悲しい限りです。

2013年の訪問時に、店内のパノラマ写真を含めて、うどん・そば自販機など、写真を撮っていたので、保存・記録の意味も込めて貼っておこうと思います。

うどん・そば自販機(富士電機)

f:id:holy-jolly:20131109192511j:plain

店内に入るとまず目に入るのが、現役で稼働している富士電機製のうどん・そば自販機。このパネル、めちゃくちゃ懐かしくないですか?どことなく「モチモチの木」などで知られる切り絵・版画作家、滝平二郎氏の作品を思い出す雰囲気ですよね。

ちなみに、隣の自販機では、おにぎりや朝採りたまごが売られていました。

 

 

f:id:holy-jolly:20131109192418j:plain

うどん・そば自販機のオーダーボタン操作部。250円と、大変良心的な価格設定です。

しかも、昔の自販機なのに新500円硬貨も使えるというのが凄い。オーナー様がいかにしっかりと手入れをしているのかが伝わってくるようです。

注目すべきは何と言っても残り秒数の表示灯。

想定科学アドベンチャーゲーム「Steins;Gate(シュタインズ・ゲート)」でも有名になった、あのニキシー管*2です。

あのアニメ/ゲームのおかげで、ニキシー管を利用した時計やらガジェットなんかは一部で流行りましたが、そのニキシー管が実際に産業機械用として使われているのは、初めて見ました。

 

f:id:holy-jolly:20131109192504j:plain

あっという間に出てきたてんぷらそば。麺にしっかりとしたコシがあり、ツユも大変美味でした。一味唐辛子は瓶が置いてあるのでかけ放題。

そばや薬味も新鮮だったので、毎日毎日オーナー様がしっかりと管理されていたのでしょうね。これだけ状態の良いうどん・そば自販機がもはやなくなってしまったのは残念でなりません。

懐かしの見下ろし式クレーンキャッチャー

f:id:holy-jolly:20131109193743j:plain

店内にあった見下ろし式クレーンキャッチャー。こちらもめっきり見なくなりましたね。古いホテルのゲームコーナーにはまれに置いてあったりしますが、ゲーセンで最近見た記憶がありません。

景品には、進撃の巨人やVOCALOIDの絵が書いてあるZIPPO風ライターなんかがあり、意外と流行に乗っているのがシュール。

店内パノラマ

 

f:id:holy-jolly:20131109192941j:plain

(クリックで拡大します)

最後にiPhoneで撮影した店内パノラマ。

深夜だったってこともあり、店内には私一人だったのでこんなことができました。

ただ実は、このちょっと前までは50歳くらいのおじさんがひとり、黙々と脱衣麻雀をやっていて、二人きりでなんとも気まずかった記憶があります。

深夜、こんなところにそばを食べに来る私も私で大概なんですが...

写真手前が背の高いテーブルがある飲食スペース、ドリンク自販機の右手奥が便所(ちなみにボットン汲み取り式、夜はめっちゃ怖かったです)、奥がパチスロ機・脱衣麻雀などのビデオゲーム・UFOキャッチャーなどが置いてあるゲームコーナーです。

もう二度と戻らない

暦の上では秋の11月といえど、北海道は初雪も降り始め、体感的にはほとんど冬。夜はかなり冷え込みますが、アウルショップ275の中は、深夜にも関わらずガス暖房が入っていて、とても暖かかったのを覚えています。

うどん・そばの自販機の具材や、店内で売られている朝取り卵、おにぎりだって、毎日誰かが入れ替える必要のある商品です。

自販機とゲームしかない無人の空間なのになぜか、毎日維持している人の温かみが見えるようでした。

 

深夜、ゲームコーナーの機械から流れてくるレトロなBGMを聞きながら、たまにしか車の通らない真っ暗な店外を眺め、ゆっくりと美味いそばを食べる。

食べ終わったら自販機でコーヒーを買って飲みながら、ぼけーっとタバコを吸う。

物質的には全く贅沢ではないのですが、精神的には最高の贅沢でした。

願わくばどなたか引き継いで再開を、なんていうのはワガママなのかもしれませんが、こういった空間がなくなってしまうのは、本当に悲しいですね。

オーナー様のご冥福をお祈りします。また、今まで長い間、管理・保守作業、本当にお疲れさまでした。

*1:懐かし自販機とも。主にうどん・そばや、ハンバーガーなどの温かい食品を販売する自販機の総称

*2:数字や記号を表示する放電管の一種で1950年代ころから普及したが70年代に7セグに取って代わられ、90年代には全世界で製造を終了している。ゲーム「シュタインズ・ゲート」ではその世界線の変動値を表すメーターとしてニキシー管が使用されていた